アルゼンチンは本当に遺伝子組換え作物大国なのか調べてみた

遺伝子組換え作物について。このあいだは「遺伝子組み換え作物の仕組み – Sabe la tierraへ行って考えた」というポストで、勢いで、もう豆腐は買わないぞ! なんて書いてしまったが、実際ほんとうにどれくらい日常的に遺伝子組換え作物を食べているんだろうか、と気になって調べてみている。

まず、「アルゼンチンは遺伝子組換え作物ばっかり」という表現はあまり正しくなかった。アルゼンチンは遺伝子組換え作物生産大国で、ものすごく広い土地を遺伝子組換え作物生産用に使っているが、日常食卓に上る多種多様な野菜がみんな遺伝子組換えな訳ではなく、限られた数種類の作物を大量に作っている、らしい。

少し古いが、2002年の資料に、アルゼンチンでの認可体制から、生産、流通までについてまとめてあるものがあったので、そこから読み解いてみる。

参考にした資料はこちら:アルゼンチンにおける遺伝子組換え作物をめぐる状況ー認可体制、生産・輸出、流通ー
http://www.maff.go.jp/primaff/koho/seika/project/pdf/gmo3-3-2.pdf

2002年の段階でアルゼンチンで認可されている遺伝子組換え作物の品種の総数は567。とはいっても、作目で言うと、大豆、綿、トウモロコシの3種のみ。2002年の段階では小麦はまだ実用化されされておらず、研究段階だったようだ。現在までに実用化され、認可が下りたのかどうかはわからないが、2011年の別の資料(http://www.monsanto.co.jp/data/countries.html)を見ると、相変わらずアルゼンチンの主要遺伝子組換え作物は前述の3種で、小麦は資料には上がってきていないので、おそらく認可されていたとしても微々たる量であろう。

2002年段階では、アルゼンチンの遺伝子組換え作物の作付け面積は1350万ヘクタールだったものが、2011年では2370万ヘクタールにものびている。そのほとんどが大豆である。それまで他の作物を作っていた土地を、どんどん遺伝子組換え大豆用に切り替えているわけだ。

遺伝子組換え作物は手がかからないので農民はいらない。中小農民から土地を買い上げ(或は脅し取ったりということもあり、アムネスティ・インターナショナルが人権問題にしているらしい)、大規模農場はさらに大規模に、中小農民は土地も仕事もなくなって飢えてゆく。

そして、先日は遺伝子組換え種子の会社モンサント一社を槍玉に挙げてしまったが、認可されている種子はモンサントの他、アグレボ、カーギル、チバガイギーなど他の多国籍企業のものも多い。とはいえ、やはりモンサントは世界の遺伝子作物種子のシェアの90%ほど、と独占に近い状態であるようだし、アルゼンチンにはモンサントアルヘンティーナがあるようなので、やはりモンサントのシェアは大きいだろう。

これらの大企業は種子を開発して農場へ売る。契約で実った種子から次の年の作物を作ることは禁じられているため、農場は毎年大企業から種子を買う。種子とセットで除草剤も買わなくてはいけない。大企業の作った仕組みにすっかり組み込まれている。

アルゼンチンの遺伝子組換え作物の輸出先は、EU諸国からアジア諸国へとシフトしてきているようだ。先頃、温首相がアルゼンチンまでやってきて、これからどんどんアルゼンチンから食料買います、と言っていたようだし、中国産の大豆加工製品はアルゼンチンから来た大豆でできているかもしれない(中国では遺伝子組換え大豆は資料には上ってきていない)。

中国は広大な土地でたくさんの作物を作って外国に売り、アルゼンチンから食料を買う。アルゼンチンは中国むけに自国の土地で大量の大豆を作り、自国民が食べる作物を作る土地がなくなってゆく。そしてそこに輸入規制。

なんだかなぁ、と思う。

人々はグローバリゼーションを叫び、資本主義における勝ち組である大企業が、弱小国家を食いつぶしていく。農民たちは目の前に自分たちが食べる作物があるのに、それを刈り取って外国に売るための遺伝子組換え大豆を作る。そして、飢えていく。

なんだかなぁ…。グローバリゼーションってなんだっけ。

先日の、ウルグアイの大統領の幸福論スピーチを思い出した(そういうウルグアイも大豆とトウモロコシは遺伝子組換え作物を作っている)。

バイオテクノロジーが悪いなんてこれっぽっちも思っていない。遺伝子組換え怖いしからとにかくいや! というヒステリックな気持ちでもない。絶対オーガニックじゃなきゃ、とかそういうストイックな主義でもない。

これは、もはやバイオテクノロジーでも、環境問題でも、食料問題でも、ましてや農業でもなくて、政治問題だ。

わたしは単なる天邪鬼なのかもしれない。遺伝子組換え作物やらその技術が憎いわけではなく、この一部大企業が作り上げた搾取システムのなかに組み込まれるのが嫌なのだ。だからやっぱり、遺伝子組換え大豆を使っているであろう豆腐はあまり買いたくない、と思うわけです。まぁ、すべてを避けるのは難しいかもしれないけれど…

今回参考にさせていただいた資料、記事等はこちら。

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