なぜ子育てに賞罰を持ち込むべきではないのか

こどもに関わる本を読んでいると、よく「賞罰」に頼った子育てはよくないという記述をみる。そして、その前後には必ず、そうはいっても賞罰を用いた教育方法は非常にポピュラーで、多くの親がそれを肯定している、とある。

それはなぜなのか。

私自身の話をすると、まさに賞罰によって育てられ、それによる悪影響を感じているひとりである。私の親は、わかりやすい罰は使わなかったが、賞で私をつった。例えば、学校の勉強で上位何番以内に入るといくら貰えるとかいったやり方だ。私は絵が得意だったので、よく学校で何らかの賞をもらったが、母はどんな絵を描いたのかにはあまり興味がなく、貰ってくる賞状をほめた。

罰が害があるだろうことは容易に想像がつくが、賞を与えることは一見問題がないように見える。が、大いにあるらしい。

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この本によると、アメリカの親は賞賛の言葉や者を多く与えることをすすめる情報に流されていて、こどもたちは毎日、ほめことば、特権、キャンディー、アイスクリームなどを用いて、毎日親にコントロールされているらしい。こうして育てられたこどもが、勝つこと、見かけのいいこと、トップになること、そして負けるのを避けることに力を注ぐ傾向が強くなるのは当然だ、といったことが書いてある。

トップであること、上手にできること、勝つこと、それらを達成すると賞をもらえるということは、そうできない場合、自分はダメだと思ってしまう。失敗した理由はやり方がまずかったのかもしれないが、人間がダメだったわけではない。同じ人間が違うやり方でやれば成功するかもしれないし、プロセスで学ぶこともあるだろう。それをやった自分に誇りを持てれば結果が悪くても不幸にはならない。

しかし、結果だけを見て賞を与えられると、結果をだせない場合どうしてよいのかわからなくなる。自尊心が低く、自分のことを認められるのはトップをとって親にほめてもらえたときだけ、となると、それ以外の多くの場合はいつも自己嫌悪に苛まれることになる。自尊心が低いというのはこういう場合にとても弱い(自分の場合がそう)。

また、そもそも賞が与えられない場合、やる気にならないという問題もある。その賞が自己の中から湧いてくる達成感だったり、充実感だったら、他者から与えられる賞に依存せずに、自分のやりたいことを自分の為にすることが出来る。

上記は、これをしたらこれあげる式だが、その逆もあるようだ。これしてあげたんだからあれしてくれ式だ。

「こんなに何でも買ってあげているのに」とか「こんなに可愛がっているのだから、愛してくれ」とかそういった類いのものだ。これらは賞罰とはちょっと違うけれど、何かを先に与えておいて見返りを期待するやり方だ。実に押し付けがましい。

これを大人の世界の人付き合いで考えてみるとよくわかる。意中の相手にプレゼント攻撃を仕掛け、だから交際しろと迫るとか、友人に色々してやって、だから自分にもくれ、と期待するとか。なんと迷惑で押し付けがましい人たち、と感じるだろう。

けれどもこれは親子の間ではよく起こりうるらしい。

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この本の中で例としてあげられていた夏目漱石の場合もそうだったらしい。漱石はいろいろと養父母やら実家やらを点々として育てられたらしいが、養父母がこのタイプだったらしい。漱石に何でも買ってやり、ちやほやと育てるが、いつも「お前の本当のお母さんは誰だい」などとしつこく聞いては、漱石の愛情(それは漱石が気を遣って言う嘘であっても)を確認しなくては気がすまなかったらしい。

この結果、漱石はいわゆるスポイルされたわがままなこどもになったらしい。ほしい物があると泣いたり座り込んだりして手に入れるまで動かなかったり。ときどきデパートなどで見かけるあれだ。うちの子も時々それをすることがある(おっぱいに対して)。気をつけないと。

賞罰によるコントロールされるということは、自己の中に確固たる軸がないということとも言えるのではないか。自分の中に確固たる軸がある人は、強い。

なぜ子育てに賞罰を持ち込むべきではないのか、の結論(仮)。賞罰によって他者にコントロールされ、評価の基準が自己の外におかれることによって、自己肯定感が育たず、結果自尊心が低くなってしまうのではないか。

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