おじさんの国のおはなし

日本はおじさんの国だ。

おじさんによるおじさんのためのおじさんの国だ。社会人とはすなわち、おじさんのことであって、女子供は含まれない。

女はおじさん化することによって、おじさん社会の構成員として受け入れられる。おじさんたちとおじさんみたいに働く。おじさんなので当然妊娠もしないし出産もしない。おじさんがある日妊娠したら、おじさんではないことがばれてしまう。そしておじさん社会から降りることになる。

おじさん社会に留まり続けることを選択した場合、母親業の大部分を外注することになる。おじさんは家庭のために仕事の時間を削ったりしないからだ。

一度おじさん社会から脱落したものは、なかなかおじさん社会に返り咲くことは出来ない。性別年齢家族構成に関わらず参加できる「社会」は、まだこの国にはほとんどない。だから、ママ社会とかに加入することになる。ママ社会はおじさん社会とは全くリンクしていない。

自分がおじさんであることを疑わずに生きてきたものがある日妊娠すると、本人が一番驚く。あれっ、自分っておじさんじゃなかったの。えっ、もうこの社会にはいれないの? 

おじさんみたいに生きる方法が社会人の姿だと信じて疑わなかったので、お腹の中に他人がいるというそれだけで、社会から放り出されて、途方に暮れる。なぜなら、おじさんとして生きることしか知らないから。おじさんやめたら、どうやって生きていけばいいの?

おじさん社会を脱落した妊産婦は、必死でおじさん社会に戻ろうとする。身重の体にむち打っておじさんとして働いてみたり、さっさと子どもを預けておじさんになる道を選んだりする。あるいはおじさんになっておじさん社会で立派な「社会人」をすることが出来ない自分が情けなくて鬱になったりする。

おじさんの国では、おじさん以外の人間は社会の一部とは見なされていない。女子供が女子供のままで自然に参加できる「社会」は、おじさんには作れない。

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中