人間はいかに習慣に支配されているのか – The Power of Habit

Power of Habit: Why We Do What We Do, and How to Change
Charles Duhigg
Heinemann Educational Books
売り上げランキング: 39,532

読了。

内容ももちろん非常に面白かったのだが、それよりなにより、文章力とはこういうものか、と感心しながら読まされるほど、文章が面白かった。私の英語力でも途中で挫折せずに一気に読めるくらい、わかりやすく、そして面白い。

実 例として登場する人々、煙草をやめた女性、薬物中毒の両親からうまれドロップアウトした青年がスターバックスのマネージャになったわけ、ギャンブル中毒の 女性、夢遊病の間に愛妻を殺してしまった男性、負けっぱなしのフットボールチームが優勝したわけ、ファブリーズのヒットした理由、スーパーマーケットが購 買習慣をもとに作る顧客プロファイリングシステムの開発者などなど、それぞれの人生の一部がとてもドラマティックかつ詳細に描かれていて、まるで小説を読 むように引き込まれてしまう。時には涙がにじんだくらいだ。

さて、この本は「Habit」、日本語にしたら「習慣」だろうか、についてあり とあらゆる角度から、さまざままな研究と調査、インタビューなどに基づいて書かれている、実にサイエンティフィックな本だ。巻末の膨大な注釈、引用のリス トをみると、この著者がいかに事実(研究結果や調査結果など)に忠実に書こうとしてきたのかがよくわかる。著者は科学者でも医者でもなく、ジャーナリスト だ。

この本をよむと、いかに自分の日々の生活は「habit」に支配されていることか、と気づく。この本を読むまで、私は日々小さな決断を 重ねているのだと思っていた。例えば朝何を食べるのか、何時に家を出るのか、何を着るのか、どの道を通るのか、日々小さな決断の連続だと思っていたこれら のことが、実は単なるhabitで、つまり脳味噌はほとんどなんにも働いておらず、自動的にその行動をとっている、と知ってしまった。そして今、自分が何 かをするたびに「これは私の意思だろうか、単なるhabitだろうか」と考えるhabitが出来つつある。

本書は大きく三部に分かれている。個人のhabit、組織のhabit、そして社会のhabitだ。個人の習慣の章では、habitがどうなっていて、どうやって作られるのか、を事細かに説明している。

habitとは基本的にこういうループだ。

きっかけ  -> ルーチン -> ご褒美

何がご褒美なのかは実はわかりづらいのだが、このご褒美が何かを理解すると、真ん中の「ルーチン」部分を別のことに置き換えることが可能になる。するとあらふしぎ、困った習慣が理想の習慣へ早変わり!

と、物事はそう簡単にはいかないのだが、基本的なところはこういうことらしい。新しい習慣を作り出すのはなかなか難しいが、既にある習慣を変えるというのは出来ないことではないらしい。

組 織のhabitの章では、弱小フットボールチームの練習方法、スターバックスの社員教育、 Target(アメリカのスーパーマーケットチェーン)の顧客プロファイリングシステムなどが取り上げられる。いずれも行動がhabitになる=オートマ ティックに行動する、というポイントをついている。

社会のhabitの章では、わたしたちは自分のhabitに責任があるのだろうか? と いう深い内容に触れている。例として出てくるのは、愛妻を無意識に殺してしまった夢遊病者とギャンブル中毒で破産した女性だ。夢遊病の男性は、無罪にな る。なぜならは彼は「その行動をコントロールするのは不可能な状態だったから」。けれどもギャンブル中毒の女性も同じだ。彼女のギャンブル中毒はすでに habitとなっていて、きっかけが与えられると自動的にギャンブルをしてしまい、自分の意志で止めるのは不可能な状態だったと言える。なぜ世間はこの二 人に違った印象を持つのだろうか?

本の最後に、habitのゴールデンループを理解し、そのうえでどうやってhabitを換えたらいいのか のガイドが非常にわかりやすく書かれている。実例として出てきたのは著者自身。彼は毎日ついつい仕事中に席を立ってカフェテリアへいって誰かとしゃべりな がらチョコチップクッキーを食べてしまう。クッキーのおかげで太った、やめたい。そのためのフレームワークがはこうだ。

  1. 「ルーチン」を明確にする
  2. 「ご褒美」の実験
  3. 「きっかけ」をはっきりさせる
  4. 計画を立てる

ま ず、この場合のルーチンは、「カフェテリアへいって誰かとしゃべりながらチョコチップクッキーを食べる」だ。ところでこの「きっかけ」はなんだろうか。空 腹だから? 暇だから? 血糖値が下がったから? 休憩したいから? それから、このルーチンの結果得られるご褒美は何だろうか? シュガーは意か? 友 達と話すことか? ちょっと休憩できるからか?

この「ご褒美」を見つけ出すために、自分を実験台にして実験する。やり方は、そのルーチンの 内容を色々換えてみる、という方法だ。たとえは、チョコチップクッキーではなくお茶にしてみる、カフェテリアにそもそも行かないで誰かのところへいって話 す、ドーナツを買ってきて机で食べる、などなど、色々やってみる。そして、ルーチンが終わったとき、この場合は自分の机に戻ってきたとき、感じたことを3 つ書き留めておく。それから15分たってから考えてみる「まだクッキーが食べたいか?」。著者の場合はNoだった。いい気分で過ごせたのは「誰かと会話を した」あとだというのに気づく。つまりこれが本当の「ご褒美」だったのだ。

そしてこのhabitを引き起こす「きっかけ」を見つけるには、それが起こったときに以下のことをメモしておく。

  1. 場所
  2. 時間
  3. 感情
  4. 他の人
  5. 直前にやったこと

これを何回かやると、何がきっかけなのか見えてくる。著者の場合は「午後3時から4時の間」というのがきっかけだったらしい。

と いうわけで著者は「毎日三時半に席を立ち、誰かの机へ行って10分おしゃべりする」というプランを立て、それを実行した。しばらく続けるうちに、これが新 しいhabitになった。「きっかけ」と「ご褒美」は同じだが、ルーチンの部分だけを変えたのだ。ご褒美が何かわかっていると、例えば誰も話し相手が見つ からなくてカフェテリアに行くことになっても、チョコチップクッキーは買わずにお茶で誰かとおしゃべりして帰ってくるということも可能になる。

あー、 おもしろかった。と、ここでおしまいにすると、読んだだけで何も活用しないダメ子さんのままである。変えたい習慣は山ほどあるがどれからはじめるべきだろ うか。本書曰く「キー」となるhabitがあるらしい。例えば人は日常的に運動を始めると、生活のありとあらゆる面でいい影響が出るらしい。と、わかって も… 運動かぁ… と思ってしまう。ルーチンを運動に置き換えるのに最適な、現在私が持っているhabitループは何だろうなあ…

ちなみに日本語訳もあるらしい。 こっちは読んでいないけれどレビューはいい感じです。

習慣の力 The Power of Habit
習慣の力 The Power of Habit

posted with amazlet at 14.06.30
チャールズ・デュヒッグ
講談社
売り上げランキング: 9,011
広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中