外堀を固め責任を回避するために最終判断を誘導するともだちの絵本

子どもに読み聞かせをしていて、読みたくないなぁ、この本あんまり好きじゃないなぁ、というのがときどきある。以前書いた、コミュニティに迎合する為に身体を切り売りして友人を買収して幸せになるお話の絵本 – Erendira’s blogはもう本棚から撤去して片付けてしまった。ほかにもなんだか引っかかる絵本がけっこうあるのだ。

例えばこれ。

くろくんとふしぎなともだち (絵本・こどものひろば)
なかやみわ
童心社
売り上げランキング: 5,422

これもまた頂き物なので、それを悪く書くのは気がひけるが、どうももやもやする絵本だ。

ス トーリーは、くれよんのくろくんがひとりで散歩に行くと、出先でバスくんとかふねくんとかに出会い毎日楽しく遊んでいる。くろくんの頭の減り具合に気づい た他のクレヨンたちが、くろくんどこいってるの、つれてってー、となり、みんなでぞろぞろ遊びにいく。そしたらこんどは新幹線がいた。そしてみんなが「く ろくん、新幹線くんに走ってってたのんで!」とプッシュ。くろくんは言われた通りに新幹線くんに聞いてみる、が、新幹線くんはじぶんは速すぎて危ないか ら、といって断る。それをきいてみんなは「えー、つまんなーい!」といって魅力的な街を描き新幹線くんはうずうず。さらにみんなは「くろくん線路かいて よー」。くろくんは「ダメって言われたじゃん」と断るものの、「くろくんだってみたいんだろ?」と口々にいわれ、だんだんことわりきれなくなって線路を描 く。線路をみたらそりゃー新幹線は我慢できないで走り出す。案の定スピードが出過ぎて新幹線は脱線。そこでほかのくれよんたちは「どうするのー? しらな いよ!」と喧嘩を始める。そこで脱線した新幹線くんがぐにゃぐにゃになって、ぼくは実はねんどでしたー、みんな喧嘩はやめてねー、という。みんなねんどく んに謝り、ねんどくんはトロッコ列車になってみんなを乗せてはしりましたとさ、めでたしめでたし。

まず、タイトルが「くろくんとふしぎなともだち」というのだが、このお話から、くろくんとその他のみんなが友達のようには見えない。たぶん友達じゃない。が、くろくんはそれを苦にすることなく自分で冒険に行って新しい友達をつくった。

ほかのくれよんたちは、くろくんが楽しそうにしていると言ってくっついてきて、新幹線が居るから、走ってみろと言えとくろくんに頼む。ここでわたしはつっこんだ。「そんなの自分で頼めよ」。

く ろくんは、なんというか、パシリっぽい。くろくんはいろいろ頼まれて断りきれずにレールを描いたり、ねんどくんに頼み事をしたりするが、他のくれよんはく ろくんに一言もお礼を言わない。くろくんが自分の意志で楽しく過ごしていたのは、みんながついてくる以前の、ひとりで散歩に行っていたときだけだ。そんな 友達もどきなら居ないほうがいいんじゃ…?

また、くろくん以外のクレヨンたちは、くろくん、そして新幹線くんがそうせざるを得ないような状況を作り出しておきながら問題が起きたらしらんぷりをする。この外堀を固めておきながら最終責任をくろくんに押し付けるような態度がどうももやもやする。

さ らに、けんかはやめてねー、というねんどくんの優しい声がけにたいし、みんなは、ねんどくんに謝る。それは違うんじゃ….? ねんどくんに「喧嘩して ごめんなさい」と謝っているだけで、お互いに(特にくろくんに対し)暴言を吐き責任を押し付け合ったことについては謝ってない。お店で喧嘩した客同士が、 お店に迷惑をかけた謝罪をしただけで、当事者同士は何も解決してないって言う感じ。

さいごにねんどくんがうまくまとめてくれたからいいけれど、それでもやっぱり、くろくんとその他のクレヨンたちの間にあるのは友情とは言えないんじゃないかという気持ちが拭えない。

まあ、世の中にはこういう風に外堀を固め、責任を回避するために相手に選択を迫るようなやり方をする人もたくさん居るし、それが大人のやり方だったりすることもあるだろう。でも、子どもにはそれはまだみせたくないと思ってしまう。

なんだろうこのもやもや。これを子どもに読んでやって何が伝わるだろう?

これも本棚から消えました、ごめんなさい。もう少し大きくなってもう一度出したらいいかなぁ? とも思う。このときくろくんはどんなきもちかなぁ? って考える題材にはいいかもしれない。

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中