子連れ東京滞在雑感ーわるくないじゃん

日本人はこどもが嫌いらしい。

ほら、みてみろあの出生率の低さ。東京でどんなにこどもを見かけないか知ってるか? 妊婦も赤ん坊連れも電車で立っていて、スーツ姿のおっさんが優先席に座ってるんだってよ。こどもが泣くと、追い出されるんだぜ。

そういうことを何度も見聞きした。自分が東京で暮らしていたときに知っていた世界は、そういう世界だった。インターネット上に上がってくるいろんな記事やつぶやきも、東京のおじさんによって作り出された『社会』がいかに女子供を軽く見ているか、そういうことばっかりだ。

そんな東京に、しばし滞在することになった。

まぁ、どうせ席は譲ってもらえないだろう。きっとこどもが泣いたらみんなすごくいやそうな顔をするんだろうし、出て行けとか言われるんだろう。今まで暮らしてきた国ではそんなことはなかったけれど、東京だから仕方ない。そう思って、ずっと立っているつもりで、両手があくバックパックと抱っこひもをもって、いざ出陣。

ところがどっこい、蓋を開けたら、東京も捨てたもんじゃなかった。

電車の中で席を譲られること数回。こどもが泣いてもぐずっても、向かい側のおじさんは目を細めて笑っている。追い出されることなんてなかった。

東横線沿いの友人宅へ遊びにいくと、近所のこども達がみんな公園で遊んでいる。程よく保護者の目が届きつつも、べったり面倒を見ることもなく、安全な環境で思いっきり遊んでいる。だいたい6歳のこどもがひとりで歩いて学校に通っているんだよ、なんて安全な国なんだろう。

公園はとても大きいところもあればマンションの間にちょっとあるだけのところもあるが、どこでも遊具は揃っていて、小さなこどもはそれで十分遊ぶことができる。広いところがよければ、手入れの行き届いた大きな公園が都内のど真ん中にも、郊外にもあるし、川沿いはたいてい遊べるようになっている。

雨が降れば、屋内のプレイグラウンド、そこらじゅうにある児童館、美術館に博物館。母親はお友達とおしゃべりしつつ、こどもは遊べるカフェなんかもたくさん。

世界トップクラスの大都市だけあって、選択肢はごまんとある。

あれ、東京って実は子育てしやすい? 目からウロコだった。

かつての私が知っていた東京にはこどもの姿はなかった。こどもとふれあうことはなかったし、満員電車の中に小さなこどもがいたらそれは異質な存在に見えた。ひとりもので働いていた頃の私は、おっさん社会の構成員、それもしたっぱのしたっぱだった。毎日必死で働いて、こどものいる場所に行くこともなかった。

そう、東京はこどもがいる場所とそうでない場所がはっきり分かれている感じがする。こどもがいる場所にはたいてい、こどもとその母親しかいない。週末であれば父親の姿もあるが、平日こどもとオシャレなカフェでランチしているのはたいてい母親だ。

或は、こどもがたくさん暮らしているエリアとそうでないエリアというのがある。こどもが多いエリアでは、親子カフェなんかもあれば、ベビーカー置き場があるお店もたくさん。こどもが少ないエリアでは、ドラッグストアでもおむつやお尻ふきが売っていないし、こどもの姿を本当に見かけない。街は閑散としていて灰色だ。

以前暮らしていた南米の国は、すごくこどもに優しかった。こどもはどこにでもいた。どこにでもって、夜10時に始まるダンスパーティにもいるっていうことだ。逆に、おじさんもどこにでもいた。平日の公園にもこどもと一緒に遊ぶおじさんの姿あるって言うことだ。今住んでいる場所も、こどもが程よく交じっている。さすがに夜中のパーティにはもう私も行かないので確認したことはないが、たぶんいないと思う。

東京で子育てをする場合、親が「こどもが暮らしやすいエリア」を探して引っ越したり、「こどもが楽しい場所」に連れて行く時間的金銭的余裕があれば、とても子育てが楽しく楽になりそうだな、と感じた。そうして集まってくるひとたちとの交流もでるだろう。

逆に住んでいる場所があまりこどもフレンドリーじゃなかった場合、そこに留まるしかなかった場合、さらに、こどもの遊び場に連れて行っていく時間的精神的余裕がなかった場合は難しいのではないか。アマゾンで必要なものは買えるとしても、こどもの遊び場は限られ、子育て期の人々が周りにいないとなると、親子で孤立してしまうかもしれない。こどもは体を思いっきり動かす機会も、だいぶ少なくなってしまう。

外国に暮らしていると、しばしば日本での子育ては罰ゲームに見えてしまうという。それはこういうはっきりした棲み分けの、こどもフレンドリーじゃない面を見てしまうからだろう。実際私も以前は、日本で子育てはしたくないわ〜、と思っていた。自分が知っている日本は、あまりにもこどもフレンドリーじゃなかったから。

外国でこどもを産んでから日本に戻ってこようかなと思っている友人がちらほらいる。今回その気持ちが理解できた。日本と言ってもいろいろだろうけれど、東京って悪くないな、と感じたというのがとても新鮮だった。

こどもが小さいうちはのんびりした環境で、という気持ちで今暮らしている場所にいるが、ある程度知的好奇心が旺盛になってくる年齢以降は都会に暮らしたいと以前から思っている。自分が田舎育ちだったからコンプレックスなのかもしれないが、田舎はいろんな社会の仕組みや、大人の仕事なんかが見えづらい。どうやって社会が回っているのか、どんな仕事が世の中に存在し、どうやったらそうなれるのか、見えてこない。都会にいれば見えるのかどうか、こどもの視線で見たことがないからわからないが、少なくとも「社会」の複雑さは田舎の比にはならない。

と、まぁ、いろいろ考えさせられた東京滞在だった。我が子は「おうちかえりたい〜」と言っているので、今は都会よりは田舎、でいいんだろうと思っている。

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