魔の二歳児の不当な要求対策:みえないくちべに

「くちべにぬりたい!」
「バナナが食べたい!」
「傘さしたい!」

移動中の電車や車などで突然言いだす我が子。たいてい、それが手に入らないときに言う。一度そう思ったらそれが手に入るまで、ずーっという。壊れたらステレオみたいにエンドレスに「くちべにぬりたいの。くちべにぬりたいの。みどりのくちべにぬりたいの」と。

最初は「ざんねん、今ないのー。お家に帰ったらね」とか「緑色の口紅はママも持ってないなー、ピンクでもいい?」とか言ってなだめようとするが、はっきり言ってこれらは全くこれぽっちも効果がない。しかし他になんと言っていいかわからない。

娘は「やだやだ、みどりいろのくちべにがいい」「いますぐがいい」「あとでじゃだめ、いますぐみどりいろのくちべにがぬりたい」と延々と言い続ける。

当然私はいらいらしてくる。

「ないったらないの!」
「うるさい!」
「くちべになんてぬらなくていい!」
「今運転してるの、黙ってて!」

という反応を返しがちだった。そしてもちろんこれらも全く効果がない。効果がないどころか、火に油で、我が子はますます大声で要求を通そうとし、それに対して私が「うるさい!」と叫び、小さな我が子は火がついたように泣く。

毎日こう言うことがあり、自分が発する言葉が火に油でしかないとわかっていてもなんと言っていいかわからず毎日バトルになって疲れきる、ということの繰り返しだった。

ところがある日、ふとしたことからこれの対処法が見つかった。

車の中で「くちべにぬりたい」と言い始めた娘に、私は「見えない口紅」を探して手渡してやることを思いついた。想像上の化粧ポーチを開けて「なに色の口紅がいいの?」と探すフリ。娘は「うーんとね、みどりいろ!」というので「みどりいろかぁー、ちょっとまってね、あ、あったあった、これこれ」といって想像上のポーチから想像上の緑色の口紅を取り出して想像上のキャップを外してくりくりっと出してやり、娘に手渡した。すると娘は嬉しそうにそれを受け取って、自分の小さなお口に塗り付けて、にかーっと笑い、「はい、ありがと」といって想像上の口紅を返してくれた。「ふたちゃんとしめてね」なんてコメント付きで。

「あら、緑色のお口って可愛いね、似合うねー」というと喜んで唇を見せつけてくる我が子。これはしてやったり、と、私は「マスカラもつける? 何色のまつげがいいかなぁー」と続ける。娘は「んーとね、きいろ!」と言う。私はまた想像上のポーチから想像上の黄色のマスカラを取り出して、「まぶたにくっつけないように気をつけてね」と言いながら娘に手渡す。

「緑のお口に黄色のまつげ、とっても似合ってるねー、かわいい!」なんて言うともう得意げなお顔で満足そうに笑っている。

何かを要求された場合、こうやって想像上のアイテムのごっこ遊びにすり替えると、うまくだまされてくれて(?)、一緒に遊んでいるうちに、いつもの負のループに入り込まずに時間が過ごせることが多いようだ。成功率は今のところ80パーセントくらいか。パントマイムのように身振り手振りを大げさにしつつ、実際にそれを使っているときに言いそうなコメントをつけながら会話をするとうまく行くことが多い。

我が子はいわゆる「魔の2歳児」の時期。モンテ的に見ると『魔』どころか可能性の塊みたいなもんではあるが、そういうふうに受け取るためには自分がおおらかな心境でいないとなかなか難しい。この手法であれば実際おおらかな気持ちでいなかったとしても、公式を当てはめるみたいにして対応できるので、やってみる価値はあると思う。

子供は必ずしもパターンにはめられないけれど、我が子の場合、この「魔の二歳児』的要求に対して「想像上のアイテム」で対応するとまぁまぁうまく行くらしい。

もし、魔の2歳児の意味不明な要求にイラっとしている人がいたら試してみてください。

おしまい。

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