エイリアンの心

Your mommy and I will be talking in the room, so you can come anytime you want.

そう声をかけられて、我が子が急に泣き出した。大声で泣きじゃくり、抱き上げてぎゅうっとしてもなかなか収まらない。

アルゼンチンに来てから彼女はずっとエイリアンだった。周りの人はみんなとても優しく、いつも声をかけてくれて可愛がってくれるけれど、誰ひとり、彼女のことばで話しかけてくれる人はいない。アルゼンチン語を少し筒理解しはじめたとはいえ、自分から何かを伝えるほどのことはまだできない。

TCKらしく、あっという間に誰とでもなじみ、ことばを介さず、ひょうきんな顔をしたりおどけたりして笑いを取って、コミュニケーションをとるけれど、ことばで心を表すこともできず、心に触れてくれる人もいなかった。

そんな折り、英語で話のできる人がいて、その緊張の糸がとけてしまったらしい。英語が通じる、ということがそれほどまでに彼女の中で大切な要素になっていることに、正直少し驚いた。

エイリアンであること、コメディアンであること。あんなに小さな体をして、人から受け入れられるために、人を幸せにするために必死に生きている我が子。たった3歳にして、そんな技を身につけさせてしまったことに、申し訳ない思いもする。

こちらでお世話になっている家の大家さんの息子さんが英語を話す。彼が庭先で煙草を吸いながらぼーっとしていたりすると、我が子は飛んでいって隣に座り、ずーっと一緒におしゃべりをしている。言葉が通じることが嬉しい、という当たり前のこと。でもそれはすごくすごく、大切なことなんだと、我が子を見ていてあらためて気づかされた。国や文化のあいだを行ったり来たりしている私たち。一番気にしなくては行けないのは、我が子の心の安定なのだ。

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